
思い出話
昔、ラジオドラマに携わらせてもらったことがある。
何の経緯でなのかわからないが先輩役者と狭い録音スタジオに入った。
演出をする作家さんと、録音する技術さん。
四人で狭いスタジオ内に入り録音が始まった。
『ちがくて、もっと無表情なかんじ』
読み上げる
『ちがう、もっと感情こめて』
ん?あ、はい。読み上げる
『もっと女性っぽく(今ならアウトな表現かも)』
読み上げる
『もっと性別を感じない感じで』
ん?あ、はい。
とまあ、こんな感じで、3分程の内容を3時間くらいかけて録りました。
わたしの表現力が乏しかったのはもちろんですが、演出の言うことに一貫性がないんですよね。
書いた時点で描ききれていない。だから人が声で読んだ時にイメージを足そうとするから支離滅裂になる。
演出家は本当に難しい。
だから基本的に作家がいて、演出家がいるというのはわかる気がする。
表現の世界は奥深い。
愚痴が書きたかったのではありません。文字で描くのは本当に難しく、それを表現するのはまた殊更難しいということです。
演出家の頭のなかには投影できるほど素敵な絵ができていて、それをどれだけ体現できるか。
役者にもかかっていますが、
それは音にも、
本にも、
そして見る人の心模様も大事だったりするもんです。
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